泥縄窯

 

夫婦ともども寡黙にしてはにかみ屋。修行の途中、泥で縄を綯うように窯を開いたのが、窯名の由来だ。人生に終りはあっても修行に終わりはない。誰しもが泥縄で不器用に生きているのかも知れない。土を探し形を作り、薪を焚くこと1週間、、その時間と汗が迫力を生む。

泥縄窯:中島浩文 中島美奈子
佐賀県武雄市山内町大字宮野1861
電話:0954(45)2573

 

          
    黒髪山(標高516m)の麓にひっそりと窯を営む。そびえたつ2つの山は夫婦岩と呼ばれこの他、
至るところに奇岩が見られる。また貴重な植物が観察されるため、1937年(S12年)佐賀県初の
県立自然公園に指定された。紅葉も終盤に達した頃、窯場を訪問する。
   

 

       

  

        炎に鍛えられた窯、怪物のように噴き出す炎を制御し焚くこと1週間。ガス窯や電気窯で
は得られない存在感がある。

 

 

  

   
  晩秋の光は澄み渡り、涼風がすり抜け肌寒い。来たる冬の厳しさを予感しながら秋を満喫する。
切り花を活けると焼き締め陶は釉薬を施した陶磁器に比べ倍以上長持ちする。
対照試験を行うと一目瞭然だ。焼き締め陶で飲む酒も1ランクアップする。
   

 

     

  

      料理も映えるし、酒の味も増すが、汚れや臭いが付着し洗い難いのが欠点。焼き締め陶への
理解がないと、好んで使わないだろう。まさに趣味の器だ。

 

        
泥縄夫婦の生活はじつに慎ましく、素朴だ。居住区は窯と作業場を兼ね、炊事場と風呂は別棟
にある。来客も少なかったので炊事場を拝見し、ロケットストーブを知る。原理は簡単、煙突で
暖まり、湯を沸かし、料理ができて非常に効率が良いとの事。煙突のL管の周囲を煉瓦で囲
んだものだった。興味をもって周囲を見渡すと3連の浄化槽が設置されていた。生活排水を浄化
し再利用しているという。彼らの工夫や生活を学ぶことも窯元巡りの醍醐味だ。
     

 

 

  

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